連日ロシアによるウクライナ侵攻のニュースが報道されていますが、そんな今、小学校低学年くらいのお子さまから大人に読んでほしい絵本を紹介します。
1.「せんそうがやってきた日」 ニコラ デイビス∥作 レベッカ コッブ∥絵 長友 恵子∥訳 (E/コ)
いきなり戦争によってすべてを奪われ、逃げ続けて、やっと見つけた新たな場所でも拒絶されてしまう少女…。少女の目線によるシンプルな言葉で戦争の恐怖をつづり、子供たちへの希望も描かれた作品。
2020年に出版され、当時はシリア難民の受け入れ問題や過去の争いを思い浮かべて読んでいました。今改めて読んでみると、普通の日常の中に戦争が突然やってくること、ある日を境にそれまで住んでいたところに住めなくなるということが、ウクライナ侵攻の衝撃とともに以前よりも現実的に鋭く心に迫ってきます。
2.「スーツケース」 クリス ネイラー バレステロス∥作 くぼ みよこ∥訳 化学同人 (E/ネ)
ある日、大きなスーツケースだけを持った動物がやってきました。その中には、カップ、テーブルにイス、家まで入っていると言います。それを信じられない周りのみんなは、勝手にスーツケースをこじあけて中を見てしまいます。
中に入っていたものとは…?それを見た周りのみんながとった行動とは…?
ラストに思いやりや希望が込められた作品です。
2冊とも何らかの犠牲を強いられた人々や、住んでいた場所から遠く離れなければならなかった人々の苦悩を想像し、自分ならどうするかを考えるきっかけとなるような作品です。